統合失調症(旧称は精神分裂病)の治療薬。1950年代に登場したクロルプロマジンに代わり、60年代に登場した定型抗精神病薬であるハロペリドールは、幻覚、妄想などの陽性症状に効果を示すが、感情的ひきこもり、運動減退などの陰性症状に対する効果は不十分。また、錐体外路系の症状や無月経・乳汁分泌などの副作用が問題。そこで、従来の定型抗精神病薬の問題点を改善した非定型抗精神病薬の研究が進み、96年にリスペリドンが発売された。本剤はドパミンD2受容体拮抗作用以上に強力なセロトニン5-HT2受容体拮抗作用に基づく中枢神経調節作用を有する。塩酸ペロスピロン水和物は、ハロペリドールと同等の陽性症状に対する改善効果、ハロペリドールを上回る陰性症状に対する改善効果、統合失調症の抑うつ、不安などの神経症様症状に対する改善効果がある。錐体外路系副作用はハロペリドールに比し少なく、それ以外の副作用では不眠、眠気等がある。60年に発見されたクロザピンの誘導体であるオランザピンは、ハロペリドールと同等以上の陽性症状に対する改善効果と、ハロペリドールを上回る陰性症状に対する改善効果が認められる。副作用として不眠、眠気、体重増加、倦怠感、口渇などがある。また、フマル酸クエチアピンは、ハロペリドールと同等の陽性症状、陰性症状に対する改善効果がある。副作用には不眠、神経過敏、傾眠、倦怠感、不安、起立性低血圧などがある。さらに、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト(部分的作動薬)作用を有するアリピプラゾールが、2006年に市販された。