禁煙を実行する際に問題となるのは、ニコチンに対する身体的依存からの離脱症状(集中困難、いらいら感、たばこへの欲求)が伴うことである。この離脱症状を和らげる方法としてニコチン置換療法がある。喫煙以外のニコチン摂取法として、ニコチン貼付薬やニコチンガムで置き換えて摂取し、離脱症状を軽減しながらニコチンを徐々に減少させ、最終的にはニコチン摂取量をゼロにする。ニコチン貼付薬(ニコチンパッチ)は1日1枚貼るだけでよいが、医師の処方箋が必要である(2006年4月の診療報酬改定による「ニコチン依存症管理料」の新設に伴い6月より保険適用)。ニコチンガムは1日4~12個を噛む必要があるが、医師の処方箋なしに購入することが可能である(一般薬)。ただし、これらを使用中に喫煙すると、ニコチンを過量に体内に取り込んで頭痛、めまい、吐き気などが現れる恐れがあるので、使用中の喫煙は避けなければならない。喫煙は肺がんを始め、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など各種疾患の大きな誘因となっている。03年5月1日に施行された健康増進法では、同法25条で受動喫煙防止(他人のたばこの煙を吸わせない)のための必要な措置を講ずることを求めており、禁煙指導が一段と強化された。