Cs-137などの放射性セシウムによる体内汚染を軽減する、放射性セシウム体内除去剤。日本メジフィジックス(本社・東京都江東区)の商品名で、一般名はヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物。本剤は一種の吸着剤で、自体は体内に吸収されず、腸管のセシウムを吸着して糞便とともに排せつされる。セシウムは原子力発電所の廃棄物などに含まれ、がん治療のためのガンマ線源にも利用されている。体液に可溶性であるセシウムは、呼吸器官や消化器官を介して全身に分布して腎臓から排せつされるが、大部分が腸肝循環することによって長期に体内にとどまる。放射性セシウムによる体内汚染は、重篤な疾患や死亡を引き起こす可能性がある。国内では2010年10月に承認され、世界保健機関(WHO)においても必須医薬品(Essential medicine)の一つとして備蓄推奨のリストに挙げられるなど、標準的な薬剤とされている。