長期にわたる便秘症状を改善する薬剤。塩類下剤(硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム)は、腸管内で高濃度を保ち、組織から水分を吸収して腸管内容物を軟化させる。そのため腎障害患者への投与には注意が必要。膨張性下剤(「バルコーゼ」「カンテン」)も、硬化便を軟化させる薬剤。効くのは服用し始めて2~3日後。妊婦への投与に慎重を要する。浸潤性下剤(「ビーマスS」)は、界面活性作用で硬化便の中に水分を浸透させる。大腸刺激性下剤には、配糖体(アロエ、大黄などの生薬に含まれるセンナおよびセンノシドが該当)と、ジフェノール誘導体(ピコスルフェート)がある。配糖体は、小腸より循環血液中へ吸収されて作用し、同時に大腸粘膜を直接刺激する。服用後は尿が黄褐色から赤色になる。子宮の収縮も誘発するので、妊婦は流早産の危険性がある。ジフェノール誘導体の場合、大腸内細菌叢(そう)の作用により産生する、ジフェノール体の大腸粘膜刺激作用によって効く。液剤タイプもあって投与量が調節しやすいうえ、習慣性もないので、幼児、小児、高齢者によく使われる。浣腸剤としては、50%グリセリン液が使われる。坐剤には重曹とリン酸ナトリウムを配合した「新レシカルボン」があり、腸内で炭酸ガスを発生させて腸管の蠕動(ぜんどう)を促す。こちらは安全性が高い。