加齢黄斑変性症の治療に有効な、抗VEGF(vascular endothelial growth factor)抗体。加齢黄斑変性症は脈絡膜に新生血管(CNV)を生じる疾患で、欧米での中途失明の主な原因であり、日本でも増加が指摘されている。光線力学療法(PDT ; photodynamic therapy)が2004年5月に承認され、これまでは治療の主流となっていたが、それに取って代わる薬物療法として開発された。4週に1回の眼内投与を、約1年間続けるプロトコールで臨床試験が行われ、PDTを大きく上回る成績が得られたことから、06年にアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認を得た。日本では08年9月に承認された。ラニビズマブの構造は、マウス由来のヒト化モノクロナール抗体のFab断片で、VEGFのすべてのアイソフォームに結合することで、結果としてCNVを消退させて、視力の維持、改善が期待できる。適用方法は主に硝子体内投与により行われるため、全身投与に比べて1回の投与量はかなり少量であり、全身合併症は少ないものの、頻回眼内投与にともなう患者への苦痛と、高額な治療費が問題とされており、薬剤を効果的かつ集中的に送り込むドラッグデリバリーシステム(DDS)技術等を用いた改良が期待されている。