血液凝固第1因子であるフィブリノゲンを、血液より抽出精製した製剤。先天性低フィブリノゲン血症の出血傾向に用いる。また、心臓などの手術時における、組織接着剤の主成分としても用いられる。フィブリノゲン製剤は、他の血液製剤と同様、ヒト血液を用いるが、当時は輸入を含む売血より製造されており、本来、感染因子含有のリスクがあった。日本では承認以降、紫外線照射処理・βプロピオラクトン添加などのウイルス不活化処理を行った非加熱製剤により、製造・販売が行われていた。その後、ウイルス不活化処理法が1985年にHBsグロブリン付加、87年には乾燥加熱へと切り替えられた。しかしながら88年に発見されたC型肝炎ウイルスには十分な処理方法ではなかった(85年までの処理方法は、結果的にはC型肝炎ウイルスを不活性化していたことが検証されている)。そのため、薬害肝炎が発生し、大きな社会問題となった。現在、販売されているフィブリノゲン製剤は、献血由来で、乾燥加熱および有機溶媒・界面活性剤処理が施されており、肝炎の発生事例は報告されていない。