約50年前に睡眠剤、鎮痛剤として発売されたが、副作用の催奇形性で、胎児の四肢などに深刻な障害を引き起こし、一度は販売停止となった薬剤。しかしながら、その抗炎症・免疫調節作用から、その後ハンセン病治療薬としてブラジルなどで認可され、アメリカ食品医薬品局(FDA)においても1998年に承認された。また、自己免疫疾患やがんの症状を悪化させる腫瘍壊死因子(TNF-α)の阻害作用や、がん細胞へ栄養を送る血管が形成されるのを防ぐ血管新生阻害作用などを有することが、次々と明らかとなり、日本においては2008年に、再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬として認可された。現在では、世界10カ国以上で承認されている。なお、流通や処方にあたっては、医師や薬剤師、患者を登録制とし、順守状況の確認のために第三者機関を設置するなど、安全管理手順を順守することが義務づけられている。