ワクチンには、病原体の弱毒変異株などを用いる生ワクチンと、病原体をホルマリンや紫外線で殺菌した不活化ワクチンがある。さらに、遺伝子組み換えワクチン、病原体の抗原提示部位を用いるコンポーネントワクチンやサブユニットワクチンなどもある。いずれも動物に注入することで、体内に病原体に対する抗体を作り、以後、感染症にかかりにくくするという医薬品である。国産のインフルエンザワクチンは、ウイルスを有精卵に接種して増殖させ、培養液から精製・濃縮したウイルスをエーテルで部分分解し、さらにホルマリンで不活化したものである。皮内、もしくは皮下注射で投与される。一方、輸入ワクチンは、原料となるウイルスを犬の腎臓由来のMDCK細胞で培養したもので、免疫増強物質(アジュバント)も添加されているので、痛み軽減の目的で筋肉内注射にて投与される。ワクチン接種をしておいたから、インフルエンザに絶対に罹患(りかん)しない、ということはない。ただ、抵抗力の弱い小児や高齢者は、接種しておくことが勧められる。副反応としては、痛み、腫れ、発赤、頭痛、筋肉痛、倦怠感などで、まれにギランバレー症候群(運動神経障害)が見られる。