シタグリプチンリン酸塩水和物(商品名「ジャヌビア錠」)、ビルダグリプチン(商品名「エクア錠」)に次ぐ、日本で3番目の経口糖尿病治療薬。商品名は「ネシーナ錠」。インスリン分泌を高めるホルモンのグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)と、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)を分解する、ジペプチジルペプチダーゼ(DPP-4)を阻害することで、GLP-1とGIPの血中濃度を維持して血糖値を下げるDPP-4阻害薬である。効能・効果は2型糖尿病。対象患者は、(1)食事療法と運動療法のみ、(2)食事療法と運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用しても十分な効果が得られない場合、に限る。用法は1日1回25ミリグラムを経口投与する。中程度以上の腎機能障害患者では、排泄の遅延により血中アログリプチン濃度が上昇するので、腎機能の程度に応じて投与量の調節が必要。副作用は重篤な低血糖症状、浮動性目まい、頭痛、発疹、浮腫、腹部膨満、鼓腸、便秘など。低血糖症状の出現頻度は0.1~5%未満だが、低血糖出現時には投薬中止、あるいは減量する。なお、他のDPP-4阻害剤では、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状が現れ、意識消失をきたす例も報告されている。また、低血糖出現時には通常はショ糖を投与するが、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合には、ブドウ糖を投与する。