女性の閉経後骨粗鬆症(そしょうしょう)の治療薬。骨のエストロゲン受容体に結合した後、骨代謝回転に関与するサイトカインを介して、女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と同様に骨のカルシウム分が血液に溶け出すのを防ぐ作用を発揮する。商品名は「ビビアント錠」。骨やコレステロール代謝に対し、エストロゲン様作用を示す一方、乳房や子宮のエストロゲン受容体では逆の作用を示す。このような特性から、選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM ; selective estrogen receptor modulater)と呼ばれている。背骨以外の手足の骨折予防効果については、SERMの第一選択薬であるラロキシフェン(商品名「エビスタ錠」)をしのぐ有効性が示されている。のぼせや発汗など更年期症状の強い人は、症状をさらに悪化させる恐れがあるので使用しないこと。また、血栓症、長期にわたり体を動かせない人(術後回復期、長期安静期など)、悪性腫瘍、肥満、外科手術後の人、妊婦は使用を控えること。副作用は、血栓症、静脈炎、下肢疼痛、下肢浮腫、突然の呼吸困難、息切れ、胸痛、急性視力障害、じん麻疹、口内乾燥、傾眠、過敏症、トリグリセリド(中性脂肪)の上昇、発疹、血管拡張、ほてり、腹痛、口渇、貧血、肝機能低下、線維嚢胞(のうほう)性乳腺疾患、筋痙縮(けいしゅく)、下肢けいれん、関節痛、耳鳴り、末梢性浮腫、子宮出血など。