てんかん、三叉神経痛の治療薬。1965年に承認されて以後、躁うつ病の躁状態、統合失調症の興奮状態に対する効能が追加承認され、2013年時点では、国内において後発品を含む4銘柄8製剤(商品名「テグレトール」「カルバマゼピン」「テレスミン」「レキシン」)が承認されている。一方、各種薬剤の使用数の増加に伴って、皮膚粘膜眼症候群(SJS)、中毒性表皮壊死融解症(TEN)などの重症薬疹の報告数も増えつつある。これらの病気は、いったん発症すると重篤な転帰となり得ることから、その発症予測に関する研究が進められ、予測の指標であるバイオマーカーとしてHLA遺伝子(human leukocyte antigen)が注目されている。11年には、日本人を対象としたカルバマゼピンの薬疹の発症に関連する研究で、特定遺伝子の存在が明らかとなり、この遺伝子を持つと薬疹の発症リスクが9.5倍高いことがわかった。この特定遺伝子を持つ人は、日本人全体で約10%いることが推測されている。現在、服用開始前に遺伝子型検査をするような方法で、薬疹を回避することができるかどうかを調べる研究が進行中である。