抗悪性腫瘍薬で、一般名はエリブリン(eribulin)。1985年、神奈川県の油壺海岸にて採取された、クロイソカイメンから単離した天然成分ハリコンドリンBの優れた抗腫瘍作用を応用した合成誘導体である。その作用機序は、細胞内にある微小管の伸長を抑制することで細胞周期(細胞分裂が繰り返される過程)を停止させ、アポトーシスを誘導して腫瘍の増殖を抑制する。同じ微小管阻害薬であるタキサン系抗腫瘍薬とは機序が異なり、治療抵抗性乳がん、および治療歴のある転移乳がんに対して、既存の薬剤との比較で全生存期間の延長が認められた。2011年4月、切除不能、または再発乳がんに対する治療薬として承認された。