抗体を利用した医薬品。抗体とは、生体内で特定の異物に存在する抗原に特異的に結合し、除去する分子のことをいう。抗体医薬品は、1975年に細胞融合技術を応用したモノクロナール抗体作製技術が報告されて以来、キメラ化、ヒト化抗体、大量生産技術によって、主に抗がん剤として発展してきた。抗体のアミノ酸配列の多様性により、様々な標的分子に高い特異性と親和性をもって結合させられる。また元来が生体内分子であることから、安全性が高く、長い血中滞留による効果の持続も特徴である。本薬はたんぱく質であるため、経口投与では吸収されず、通常は注射や点滴によって投与される。現在、世界では50品目を超える抗体医薬品が承認され、2015年の医薬品売上トップ10でも半数以上を占めた。適応症も、がんや免疫炎症領域だけではなく、感染症、眼疾患、骨疾患、中枢疾患、代謝性疾患へと広がってきている。