統合失調症は、考えや気持ちがまとまりにくくなり、物事に対して誤った意味づけをしたり、現実にはない体験をしているように感じる妄想(delusion)や幻覚(hallucination)、まとまりのない行動、意欲の減退、感情の表現が乏しくなることなどを主な症状とする病気である。およそ100人に1人がかかるといわれており、まれな病気ではない。原因はまだあまりわかっていないが、神経系の機能に障害があって起こる病気であることが明らかにされつつある。脳の神経と神経の間で、様々な情報を伝えるための神経伝達物質が過剰に働いてしまうことで、脳の神経が過敏になることが知られている。治療には、脳内の神経伝達物質(ドーパミン ; dopamineなど)に作用する薬が有効である。入院して心身を休めることが必要になることもある。いったん症状が落ち着いた後もストレスを受けて再発することがあるが、薬をきちんと飲むことで激しい症状は緩和され、再発を防ぐこともできる。治療や生活を支えていく上で、家族の援助が有効である。社会生活技能の障害に対するSST(social skill training ; 生活技能訓練)などもよく用いられる。