1993年の障害者基本法、94年の地域保健法の流れを受け、従来の精神保健法の目的である「精神障害者の人権に配慮した適正な精神医療の確保」や「社会復帰の促進」に加えて、「障害者福祉」の要素を法の枠組みの中に組み込み、95年に「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」として改正・成立した法律のこと。精神障害者福祉手帳の創設、社会復帰施設4類型、社会適応訓練事業の法定化などが盛り込まれた。その後2000年の法改正では、精神障害者の人権に配慮した医療の確保を掲げ、精神医療審査会の機能強化、精神保健指定医の役割強化、医療保護入院の要件の明確化、精神病院への指導監督強化、保護者の義務緩和が挙げられ、さらに緊急に入院が必要な精神障害者の移送制度(第34条)が創設された。また、地域における精神障害者の保健福祉施策の充実を図る目的で、精神障害者の日常生活に関する相談・助言等を行う施設として精神障害者地域生活支援センターが社会復帰施設に追加された。02年の改正では、精神障害者の在宅福祉の充実として、居宅生活支援事業(ホームヘルプ、ショートステイ、グループホーム)が市町村を実施主体として行われることになり、また精神障害者保健福祉手帳や通院医療費公費負担制度の申請窓口が保健所から市町村役場に変更されるなど、保健福祉施策の充実が図られた。加えて、精神医療審査会の事務、精神障害者保健福祉手帳と通院医療費公費負担の申請に対する決定に関する事務のうち、専門的な知識および技術を必要とするものの事務が精神保健福祉センターで行われることになり、精神保健福祉センターの機能拡充を推進している。