EAP(従業員支援プログラム)は、アメリカで生まれたシステムで、従業員への支援の内容はメンタルヘルスに関することが主であるが、夫婦関係、経済的問題、法律問題なども含まれる。EAPでは、事業場外部に相談窓口を設置し守秘性を守るため、従業員は安心してサービスを利用できる。しかし、危機介入や、特に職場での就業上の配慮が必要な場合には、原則として本人の同意を得て、職場と連携を取る。従業員本人だけでなく、上司や人事労務担当者からの相談もEAPに包括され、EAPではコンサルテーションを行う。従業員のみならず、家族も相談を利用できることから、従業員の健康状態に最も早く気づく可能性の高い家族の協力も得られる。同時に従業員の心の健康に影響を与える家族の問題にも対応できるということもある。このようにEAPを利用する人には、従業員のみならず、上司・同僚などの職場の人々、人事労務担当者、産業保健スタッフ、さらに家族までもが含まれる。相談を担当する専門家は、精神保健福祉士、臨床心理士、産業カウンセラーなどである。EAPサービス機関によっては、精神科医などの専門医が常勤あるいは非常勤でいるところもあるが、直接相談に対応するだけでなく、カウンセラーのサポートも行う。