発達過程が何らかの原因によって阻害され、認知、言語、社会性、運動などの機能の獲得が障害された状態が発達障害であるが、障害の程度が軽い場合を軽度発達障害と呼ぶ。高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群、高機能自閉症)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3つが代表的なものである。児童の5~6%が軽度発達障害と考えられているが、周囲から障害を理解されないために、いじめにあったり、家族から虐待されたりすることが少なくない。高機能自閉症やアスペルガー症候群は、コミュニケーション障害が中心、学習障害は習得能力の障害が中心であり、注意欠陥多動性障害は衝動のコントロールの障害が中心である。これらの発達障害に対する根本的な治療はないが、一部の発達障害には薬物療法が行われている。軽度発達障害への対応の基本は、軽度発達障害児(者)が学校や職場などの社会に適応していく過程を支援していくことである。