精神・神経疾患患者の生前の同意に基づき、死後脳を提供してもらい、科学研究に役立てる取り組み。特に精神・神経疾患は、原因がはっきりしないものが多いため、究明のために必要といわれている。欧米では制度化が進んでいるが、日本は遅れている。しかし精神疾患の分野では、福島県立医科大学のように、1997年より取り組みを開始している施設もある。同大では2010年までに、約30人以上の脳の提供を受けた。さらに大規模な組織が必要ということで、学会が中心となって全国の大学や研究所を拠点とし、生前登録を始める予定である。一方、神経疾患の分野では、国立精神神経センターが中心となってパーキンソン病や多発性硬化症などを対象とした脳バンクが始まっている。死後脳の摘出や保存に関する費用は、提供者ではなく、脳バンクが負担する。なお、死後脳の摘出は臓器移植のように脳死状態で行うわけではなく、通常の死亡認定の後に行われる。