アメリカ精神医学会が発行する、精神医学の代表的な診断体系。病因論にかかわらず、症状レベルの診断項目を作り、その項目が一定の数だけあてはまれば診断できるという形式にしたことが特徴。現在のように、症状レベルの診断項目から診断するような体系となったのは、1980年のDSM-IIIからである。現在の基準はDSM-IVだが、2013年にはDSM-Vが予定されている。DSMの大きな利点は、具体的な症状レベルの確認によって診断できるということ。問題点は、診断項目が具体的な症状レベルで書かれているにしても、その症状を認めるかどうかは、やはり診断者の認識に左右されてしまうことなどがある。しかし、そうはいってもDSM以上の診断基準がないので、実質的には世界の精神科診断のグローバルスタンダードとなっている。なお、WHO(世界保健機関)が制定しているICDも、グローバルな診断基準ではあるが、DSMと協力体制を作っており、基本的にはかなり似た診断基準である。ICDは、DSMほど厳密に診断基準を規定していないので、薬の臨床試験や研究ではDSMが使用されることが圧倒的に多い。