精神的な暴力、嫌がらせのこと。モラルは「心理的な」という意味で、フランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌが提唱した。略してモラハラともいう。なお、日本では、モラルハラスメントや、和製英語であるパワーハラスメントが時事用語として浸透しているが、海外ではサイコロジカルハラスメントという表現のほうが一般的である。イルゴイエンヌは、モラルハラスメントが成立する背景として、加害者のゆがんだ自己愛や被害者の自責傾向を指摘している。精神的な暴力が、身体的な暴力へとエスカレートすることもある。家庭や職場において起きやすく、離婚訴訟や職場訴訟の理由となることも多い。その場合、当事者同士が赤の他人でないことが、解決を長引かせる大きな要因となっている。