酸素不足ではなく、精神的ないし生理学的な原因から過度に呼吸を繰り返し、手足のしびれや動悸(どうき)、めまい、頭痛、胸部痛、吐き気、失神などを招く病態。発作が続くと、動脈血の二酸化炭素濃度は低下し、血液はアルカリ性に傾く。ただし過呼吸は、気胸のような呼吸器疾患に起因する場合もあるので、症状だけで過呼吸症候群と決めつけるのはよくない。対処法としては、口や鼻に紙袋などをあて、吐いた空気を再度吸い込み、血中の二酸化炭素濃度を上げるペーパーバッグ法が知られていたが、調節が難しいこともあり、最近は推奨されていない。むしろ、呼吸数や深さを減らすことが大切である。軽い発作の場合は落ち着くよう指示し、水分補給や会話などを行って、呼吸回数を減らせば、自然に回復することが多い。会話ができないような過呼吸が持続する場合は、医療機関を受診する必要がある。過呼吸症候群を繰り返す場合、背景に精神疾患が存在する場合もあるので、専門機関に相談することが望ましい。