コルチゾール濃度の測定による、うつ病診断の試み。コルチゾールは副腎皮質で産生される生体ホルモンで、その濃度はストレスを受けると上昇する。そこで血液、唾液、尿中のコルチゾール濃度を測定し、人間のストレスを客観的に評価することで、うつ病の診断に役立てる方法が考案された。しかしコルチゾールは、うつ病やストレスのみで特異的に上昇するわけではなく、激しい運動や時間帯(起床時に最も上昇する)、他の精神疾患などによっても上昇するので、客観的な検査法として利用できるまでには確立していない。1990年代には、デキサメサゾン抑制試験が、うつ病の客観的な試験として注目されたが、特異性(他の精神疾患でも陽性になることが多い)が不十分という理由でその後下火となった。