医師から処方された治療薬で起こる依存症。精神科領域においては、睡眠薬や抗不安薬などでよく見られる。精神科以外では、コデイン(メチルモルヒネ)のような依存性の強い鎮痛薬のほか、カフェインを含んだ鎮咳薬(ちんがいやく)などでも起こりうる。国立精神・神経医療研究センターの調査によると、近年、薬物依存症の原因となるのは、シンナーやトルエンといった有機溶剤よりも医療機関で処方される向精神薬のほうが多く、覚醒剤に次いで2番目であることが報告されている。解決策として最も大切なのは、医療機関が過剰な薬の処方を行わないことである。しかし一方で、不眠や不安といった症状を強く訴え、担当医に睡眠薬や抗不安薬の増量を強く希望する患者が絶えないことも、この問題を難しくしている。厚生労働省も対策に乗り出しており、抗不安薬などを多剤処方した場合、処方料や処方せん料、薬剤料、精神科継続外来支援・指導料を減算する規定が設けられた。