小児の発達期に発症する知的機能、および適応機能の障害。全般的な知能の障害と、同年齢の健常児にくらべて日常の適応機能が障害されることを基本的な特徴としている。知的能力障害の程度の診断は、臨床的評価や心理テスト等を用いて総合的に行われる。標準偏差15、平均値100の知能検査では、IQ尺度が70以下の場合、知的能力障害の可能性ありとされる。なお、重症化するにつれIQ尺度の妥当性は乏しくなる。有病率は一般人口全体の約1%で、男性が女性よりもやや高い。病因には遺伝性疾患、妊娠中の母体の感染症や環境などがある。知的能力障害が重症の場合は、原因を特定しやすいが、軽度あるいは境界線上の症例では特定できないことも多い。はっきりとした原因がある場合は、原疾患を治療する一方で、心理社会的療法が欠かせない。特に公的支援は大切であり、学齢期では特別支援学級、成人期では障害者雇用や福祉施設、あるいは年金といった経済的な支援が必要となる。