造血幹細胞移植では、前処置として大量の抗がん剤投与や放射線照射でがん細胞を徹底的にたたく。この前処置は骨髄以外にも正常な臓器や組織を傷めるので、移植患者は副作用に耐えられる55歳までとされ、重い臓器障害のある人は適応外である。ミニ移植は、造血幹細胞と一緒に移植されるリンパ球のほうががん細胞を攻撃する力が強いことが発見され、前処置は軽く抑え、リンパ球による攻撃をゆっくり誘導するマイルドな治療法。移植の適応年齢も70歳まで広がった。ただし移植するリンパ球は正常組織を攻撃するため、免疫抑制剤の微妙なさじ加減が必要になる。国立がんセンターでは慢性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群の患者を中心に、造血幹細胞移植ができない80人の患者に実施し、1年後の生存率は約70%である。