がん細胞は正常細胞に比べて熱に弱い。放射線やある種の抗がん剤はDNAに傷をつけるが、がん細胞はこれをかなり修復できる。しかし、42℃以上になるとDNA修復が働かなくなり細胞が死にやすくなる。43℃の温熱では細胞内のほとんどすべての成分がたんぱく変性するので、いかに耐性を得、新しいたんぱく質で補うか、という代謝の違いが正常細胞とがん細胞との温熱感受性の違いを生む。目標の限定されている抗がん剤と比べて攻撃する目標が多岐にわたることは、温熱療法の優れた点といえる。腫瘍局所加温の場合には、殺細胞効果の他に、周辺正常組織の適度の加温による免疫機能の亢進が認められる。