前立腺がんは、高齢になるほど急速に増えるがんである。前立腺がんには、潜在性の悪性化しないがんが多い。50歳以上なら3分の1以上の男性にある。前立腺がんの早期診断に経直腸超音波診断が行われたが、最近PSA(前立腺特異抗原)を用いた血清診断も試みられている。血清中のPSA基準値は1ミリリットルあたり4ナノグラム以下である。ある程度の大きさになれば、直腸指診も有効である。手術の後遺症として膀胱の括約筋を傷めることによる尿漏れと性機能障害がある。放射線治療は小線源治療(ブラキセラピー)が増えている。これはヨウ素125や放射性イリジウムを入れた長さ4~5ミリのカプセルを前立腺に60~100個程度埋め込む治療法で、がんが前立腺内、悪性度がグリーソン値で6以下、PSAが10以下の早期がんが適応になる。PSAが10以下なら様子をみる待機療法もある。前立腺がんは、骨やリンパ節に転移しやすい。骨に転移すると、酸フォスファターゼの上昇がある。前立腺がんの細胞は、男性ホルモン依存性なので、抗男性ホルモンあるいは女性ホルモンによる治療が有効である。転移を示す進行がんには、ホルモン療法より除睾術が有効である。