卵巣腫瘍は85%が良性あるいは中間群に属する腫瘍で、残りが悪性である。前者の3分の2は20~44歳の間に起きる。悪性の卵巣腫瘍は40~64歳が多い。卵巣がんは初期には症状がなく、70%は病期3、4の進行がんの状態で発見されるため予後が悪い。悪性のうち上皮性腫瘍が90%を占め、あと10%弱が胚細胞由来、まれなものが性索間質細胞由来である。大人の卵巣がんでは、漿液性あるいは偽ムチン性嚢胞状腺がんが主になる。粘液産生がきわめて強いがんもあり、腹膜に広がると腹膜偽粘膜症と呼ばれる。大人の卵巣がんは遺伝的影響、あるいは女性ホルモンの影響が強く、最近増加傾向を示す。排卵誘発剤が卵巣がんのリスクになるという疫学調査がある。