特定のヒトパピローマウイルス(HPV16、18、31、33、45、52、58など)感染が子宮頸部がんの発生に深く関係している。子宮頸部異形性CIN1/2185例を経過観察する研究から、CIN3に進展するのは、HPV16型・18型感染に限られ、CIN3に進行するリスク比は15.6倍であった。HPV感染の多くは一過性で、一部の女性しか粘膜がんを形成せず、しかもその多くは自然消退することが知られている。症例対照研究によって、頸部粘膜がん発生に関係する因子が検討され、HPV感染で補正すると、結婚、多産、若年妊娠の3つがリスクとして、またベータカロテンおよびリコペン高値が予防因子として認められた。