大腸の粘膜下層への深達度が1ミリ未満のがんに対し、内視鏡を使いながら患部を電気メスでそぎ取る手術。内視鏡による大腸がん治療は、ポリープ状の茎の部分をワイヤーで締め、高周波電流で焼き切るポリペクトミーから始まった。その後、大腸の粘膜下に生理食塩水を注射してがん部を盛り上がらせてからワイヤーで切り取る内視鏡的粘膜切除術(EMR法)が工夫され、平坦がんでも2センチ程度のがんも切除できるようになった。ESD法はさらに広範のものを電気メスで粘膜切除する方法で10センチまでも可能となった。ただし粘膜下層に浸潤が及ぶと10%にはリンパ節に転移があるといわれ、また大腸は胃壁より薄いので穿孔の危険も大きくなるため、高い技術が必要である。