脳の中心部分で、間脳の第三脳室の後上壁から突き出すように存在する、小さな内分泌腺。松果体では、メラトニンというホルモンが合成される。メラトニンの合成は、眼で光を感じると抑制されるので、メラトニンの分泌量は日中には減少し、夜間に増加する。メラトニンは、睡眠の導入をしやすくする働きがある。身体の様々な働きには、約24時間のリズムがあり、概日リズムと呼ばれる。概日リズムは、明暗の環境条件によって調整されるので、通常は、ずれを生じることがない。時差のある場所へ飛行機で高速移動すると、概日リズムに狂いが生じ、不眠、昼間の眠気、倦怠感などの症状が生じる。これが時差ぼけで、1週間ほどでリズムが調節されて消失する。また、夜遅くに明るい光にさらされると、松果体のメラトニン合成が抑制され、睡眠のリズムに狂いを生じることがある。両生類などの下等な脊椎動物では、松果体そのものが、光を感受する働きを持っている。