自然免疫とは、感染や外傷によって病原体が侵入した際に、速やかに非特異的に排除する仕組みのことをいう。侵入した病原体に対して、マクロファージなどの細胞が反応してサイトカイン(情報伝達のためのたんぱく質)を放出し、自然免疫の反応を引き起こす。すると最終的に炎症が起こり、病原体が効果的に排除される。炎症には、局所の熱、痛み、発赤、腫脹という4つの特徴がある。サイトカインの働きで血管が拡張して血流が増え、局所が熱をもち赤くなる。さらに内皮細胞の間に隙間ができて液が血管外に漏出し、局所が腫脹することで、末梢神経を圧迫して痛みが起こる。白血球がサイトカインによって局所に引き寄せられ、病原体を処理するとともに、炎症物質を放出して腫脹や痛みをともなう。このようにして、自然免疫によって引き起こされた炎症は、不快で美観を損なうが、大量の免疫系細胞や分子を局所に運ぶことによって、効果的に病原体を排除することができる。これに対し獲得免疫は、数日から数週間の時間をかけて、病原体に対して特異的な抗体などを大量に作り出し、応答する仕組みである。