生体が形態的、生理的な性質を一定に保とうとする働き。恒常性ともいう。19世紀にフランス人医師クロード・ベルナールが内部環境の固定性と表現し、20世紀初頭にアメリカ人生理学者のウォルター・キャノンがホメオスタシスと命名した。血液の液体部分である血漿など、細胞外液の成分には、グルコース(血糖)濃度のように食事との関係で増減はするが、ある程度の幅の中で調節されているものや、ナトリウムなどの電解質のようにきわめて狭い範囲で調節されているものがある。血液中のたんぱく質やグルコースといった、栄養にかかわる物質の濃度は、肝臓が中心になって調節する。電解質の量と濃度の調節は、腎臓が中心になって調節する。その際、臓器自身による自動的な調節に加えて、自律神経とホルモンを通した中枢神経からの調節も受けている。酸素や二酸化炭素といった血液ガスの濃度は、肺での呼吸によって維持されているが、呼吸運動は中枢神経からの直接の指令によって行われている。