毛には、平滑筋と皮脂腺が付属しているが、毛に付属する平滑筋は特に立毛筋と呼ばれ、寒さにさらされたときに交感神経の刺激により収縮して毛を直立させる働きをする。この際に毛の周囲の皮膚がわずかに持ち上げられてできるのが鳥肌である。精神的な緊張によっても鳥肌は起こる。動物では毛が直立すると、毛の間の空気の量が増えて断熱材として働き、体熱が外気に逃げるのを防ぐ働きをする。人間では毛が細いために、立毛筋による断熱の効果はあまり期待できない。人間の皮膚が露出して見えるのは、動物と比べて毛の数が少ないためではなく、全身の毛が細いためである。毛は頭髪、脇毛、陰毛など、身体の限られた場所に生えているように見えるが、背中、腕、脚にも細かい毛が生えている。