くしゃみとせきは、空気の通路の粘膜が刺激されて、反射的に急速に息を吐き出す現象である。ただし、刺激される粘膜の部位と、呼吸の様子が違っている。くしゃみは、鼻の粘膜が刺激されたときに起こる。短く息を吸い込み、それから爆発的に息を吐き出して、鼻や口にたまった分泌物を吐き出す。せきは、のどよりも下の気管や気管支の粘膜が刺激されたときに起こる。大きく息を吸い込んで、それから爆発的に息を吐き出すが、息を吐き出す直前に、のどの声門を一時的に閉じている。これにより、気管や気管支にたまった分泌物を吐き出す。くしゃみのときは、口を閉じて鼻から勢いよく息を出すが、せきのときは口を開いて、のどからの息を出しやすくしている。くしゃみやせきのように強く息を吐き出すときには、腹壁の筋肉も強く収縮して腹圧を上げている。腹圧は、排尿と排便を助ける働きもしており、くしゃみとせきの際に、思わず失禁することがあるのは、腹圧が高くなるためである。