正座をして足がしびれるのは、ひざの後ろとふくらはぎで動脈が圧迫されて、軽度の血行障害が一時的に起こり、筋と末梢神経が酸素不足を起こすのが原因である。下肢に血液を送る大腿動脈は、ふとももの上部では前面にあるが、ひざの付近に来ると後面に回り膝窩動脈と呼ばれる。ここから先は2本に分かれて足首に向かう。動脈は必ず関節の曲がる側を通り抜けており、関節の曲げ伸ばしの際に、無理に引き伸ばされたり、外から圧迫されたりするのを避けている。膝関節は正座の際には180度近くまで曲がるため、その後面を通る膝窩動脈も折り曲げられる。また身体の体重が下腿の後面にかかり、ここを通る動脈が圧迫されて、下腿と足の血液循環が一時的に悪くなる。神経線維は酸素不足で興奮を伝えられなくなるので感覚がなくなり、筋を動かすこともできなくなる。立ち上がると血流が復活し、筋と神経にも酸素が届くようになるが、筋を動かす太い神経線維は、痛みを伝える細い神経線維よりも回復が遅い。立ち上がってすぐに、筋が思うように動かないのに、足に痛がゆい刺激だけあるのはそのためである。