膝と足首の間を下腿という。下腿の後面には筋肉がしっかりと盛り上がっており、これを含めて下腿全体をすね(脛)と呼ぶ。すねの筋肉はアキレス腱を介してかかとの後端につながっている。かかとを後ろに引き上げて、つま先で地面を蹴り飛ばす働きをする。アキレス腱が切れると、つま先立ちができなくなる。下腿の前面では、脛骨という太い骨を皮膚のすぐ下に触れることができる。これが「弁慶の泣き所」である。ここを硬いところにぶつけると、脛骨に衝撃が加わる。骨の内部には感覚はないが、骨の表面の骨膜には痛覚神経線維が豊富に分布していて、それが刺激されると強い痛みを感じる。骨折をすると強い痛みが生じるのも、骨膜の痛覚神経線維が刺激されるからである。この痛みは、骨格が損傷するという一大事を知らせる警告信号の役割がある。