腕のつけ根部分の上肢帯(じょうしたい)から手にかけての筋。上肢帯の筋のうち、大胸筋(だいきょうきん)など胸の浅層にある筋と、僧帽筋(そうぼうきん)など背中の浅層にある筋は、肩甲骨(けんこうこつ)を支えるとともに、上腕を動かす働きをする。これ以外の上肢帯の筋は、肩甲骨の周囲にあり、肩関節を補強して動かす働きをする。これらの筋が作る回旋筋腱板(かいせんきんけんばん)などの腱や靱帯(じんたい)が炎症を起こしたのが五十肩である。上腕の前面にある屈筋は、ひじを屈曲し、後面の伸筋はひじを伸展する。ひじを曲げると上腕二頭筋が膨らんで、力こぶができる。前腕の前面にある屈筋は、手首と指を屈曲し、後面の伸筋は手首と指を伸展する。とくに指を屈曲・伸展する筋からは、指の骨に達する長い腱が伸び出ており、手首を通り抜ける所で潤滑液を含んだ滑液鞘(かつえきしょう)という袋に包まれている。ここに炎症が生じたのが腱鞘炎である。手の中の筋は、母指球、小趾球、中手部の3群に分かれる。母指球は母指のつけ根の膨らみで、母指を動かす四つの筋がある。このほか前腕にも母指を動かす筋がさらに四つある。