気管上部の前面にあり、重さ約20グラムの、蝶のような形をした器官。甲状腺の後面で両側には、副甲状腺(上皮小体)という2対の小さな内分泌腺がついている。甲状腺の組織は、濾胞(ろほう)という小さな袋が集まってできている。濾胞の周りには、傍濾胞細胞があり、別のホルモンを分泌する。濾胞は1層の上皮細胞で囲まれ、甲状腺ホルモンの前駆物質のたんぱく質を中に含んでいる。甲状腺ホルモンはヨウ素を含むホルモンで、食事中のヨウ素が欠乏すると、甲状腺ホルモンの欠乏が生じる。甲状腺ホルモンは全身の器官に作用して、細胞の代謝を維持したり、他のホルモンの作用を増強したりする。バセドー病は、甲状腺を刺激する自己抗体ができる疾患で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、基礎代謝亢進、易疲労感、甲状腺腫、眼球突出などの症状がある。甲状腺の機能が低下すると、全身の代謝が低下し、組織間隙(かんげき)に粘液性水分がたまる粘液水腫という病気になる。