副腎は左右の腎臓の上に、まるで帽子のようにかぶさっている。重さは約10~15グラムである。副腎の中には、2種類の組織が含まれている。外側の皮質は、ステロイドホルモン(steroid hormone)を分泌し、中心側の髄質は、アミノ酸の一種チロシンの代謝産物である、カテコールアミン(catecholamine)を分泌する。副腎皮質では、コレステロールの代謝産物であるステロイドホルモンが分泌される。副腎皮質のホルモンには、糖質コルチコイドと、鉱質コルチコイドの2種類の系統のものがある。糖質コルチコイドでは、コルチゾール(cortisol)とコルチゾン(cortisone)が強い働きをもつ。糖を新生し、たんぱく質を分解する方向に代謝を調節し、炎症を抑制し、中枢神経の働きを活発にする作用がある。鉱質コルチコイドでは、アルドステロン(aldosterone)が強力である。腎臓の集合管に働いて、ナトリウムの再吸収とカリウムの排出を促進する働きがある。副腎髄質のホルモンにはドーパミン(dopamine)、ノルアドレナリン(noradrenaline)、アドレナリン(adrenaline)が含まれる。交感神経の作用を強める働きがあり、心拍数を増して心拍出量を増やす。