人間が姿勢をとったり運動したりするのは、受動的に支える骨組と、能動的に力を出す筋肉の働きによる。骨組には、硬い骨だけでなく、柔軟性のある軟骨や、線維性結合組織でできたいくつかの構造も含まれる。骨(bone)は骨格の主役で、人体に206個ある。最大のものは大腿骨で、その長さは50センチほどになり、最小のものは、中耳の中で音を伝えるアブミ骨で、わずか数ミリである。骨格を作る206個の骨以外に、種子骨といって、腱の内部に生じる骨があるが、この最大のものは、膝の前面にある膝蓋骨である。人体の中の軟骨(cartilage)には、関節軟骨といって、骨の関節面を覆って、関節の動きを滑らかにするものや、骨端軟骨といって、成長期の四肢の骨の末端近くにあって骨の長さを成長させるものなど、いくつか種類がある。線維性結合組織でできた構造のうち、筋の末端を骨格に固定するものは腱(tendon)、線維が一方向にならんで骨格を固定するものは靱帯(ligament)、線維が平面的にならんで筋肉を包むものは筋膜(fascia)と呼ばれる。