骨の中心部は、髄腔という空洞になっていて骨髄組織を含んでいる。成人では、大部分の骨の骨髄組織は、おもに脂肪組織をふくんでいるので、黄色骨髄と呼ばれるが、一部の骨では造血組織を含んでいて赤色骨髄と呼ばれる。しかし胎児の時期には、造血組織はもっと広い範囲に広がっている。胎生初期には、骨髄だけでなく肝臓や脾臓でも造血が行われているが、小児期には、骨髄だけで造血が行われるようになる。20歳頃になると、体温の低い四肢の骨の骨髄は、脂肪組織からなる黄色骨髄に置き換えられ、造血機能をもつ赤色骨髄は、胸骨や骨盤など身体の中心部の骨髄に限られるようになる。成人から造血組織を採取するために胸骨を使って骨髄穿刺を行うのは、このためである。骨髄に向かう血管は、骨幹の中央部にある1~2個の栄養孔を通る栄養動脈として髄腔に入り、そこで枝分かれして、骨髄の組織に血液を送る。