骨折には、大きな衝撃力が働いて折れる外傷性骨折のほかに、小さな外力が繰り返し働いて折れる疲労骨折や、そして骨が病的に弱いために折れる病的骨折がある。骨折した部位が外傷と交通しない単純骨折(閉鎖骨折)と交通する複雑骨折(開放骨折)とでは、治療法や治癒の経過が異なってくる。骨折の治療の基本は、骨を元の位置に戻し(整復)、動かないようにして(固定)骨の修復を待ち、骨折部位の癒合の後で筋や関節の運動性回復を図る(後療法)ことである。骨折をすると、骨膜の知覚終末が刺激されて、激しい痛みを起こす。骨の関節面が、正常の位置からずれたものが脱臼である。後天性のものでは、肩関節の脱臼が最も頻度が高く、それに次いで肘関節の脱臼が多い。脱臼した後、速やかに整復したほうが、治癒の経過が良い。先天性の脱臼では、股関節脱臼が有名だが、これは寛骨臼の形成が遅れて関節窩が浅いために起こる。