手には、手首のところに手根骨という小型の8個の骨があり、手の甲には各指に対応して5本の中手骨がある。そして指の中には、親指に2節、他の指に3節ずつで、計14本の指骨がある。親指以外の指は、屈曲伸展の運動をする他に、中手骨と指骨の間で指のまたを開閉する運動を行う。中手骨と指骨の間を曲げ伸ばししたり(屈曲伸展)、開閉したりの運動(内転外転)は、中手骨の間にある筋が行うが、指の節の間を屈曲伸展する運動は、前腕にある筋が長い腱を伸ばして動かしている。前腕の表裏に指をあてて筋の動きに触れると、指のつけ根ではなく指先を曲げ伸ばししたときに、筋が収縮するのが分かる。人間の親指は、ものをつかむために、屈曲伸展や内転外転をするほかに、他の指と向き合う(対向)動きをすることができる。対向の動きは、親指の中手骨と手根骨の間の関節で行われる。さらに親指には、他の指とは独立の筋が、前腕にも手の中にもあり、多様な動きを可能にしている。前腕の筋から出て指に向かう腱は、手首のところで靱帯の下をくぐる際に、腱鞘という潤滑液の入った袋に包まれるので、滑らかに動くことができる。