唾液腺は交感神経と副交感神経の支配を受けており、食物の感触や味、匂いによる反射やその他の条件反射により唾液を分泌する。口腔には耳下腺、顎下腺、舌下腺という三大唾液腺のほかに、多数の粘液腺が散在している。唾液は99%以上が水分だが、固形成分として、イオンのほかにムチンやアミラーゼなどの有機物を含む。ムチンは特殊な糖たんぱくで、唾液の粘性を高めて、食塊の通過を助けたり粘膜表面を保護する働きがある。アミラーゼはでんぷんやグリコーゲンを加水分解する消化酵素で、主に耳下腺の腺房細胞から分泌される。唾液アミラーゼの働きにより、でんぷんの4分の3ほどが2炭糖のマルトース(麦芽糖)にまで分解される。