大腸では、消化も吸収もほとんど行われない。大腸の働きは主として小腸から送られた内容物から水を吸収して、糞塊を形成することである。しかし大腸での水分の吸収量そのものは、小腸の20~30分の1ほどにすぎない。糞塊は消化されないで残った食物の残渣や腸上皮、腸内細菌、およびその産生物からなる。腸内細菌は、消化されずに残った炭水化物やたんぱく質などを大腸内で分解する。草食動物では大腸が長く、腸内細菌によって消化されたセルロースの分解産物を吸収することができるが、ヒトではこの働きはきわめて弱い。アミノ酸が細菌によって分解されて生じたインドールやスカトールは、大便の悪臭のもとになる。また大便の色は、胆汁色素のビリルビンが分解して生じたステルコビリンやウロビリノーゲンによる。