食物中の主な糖質は、グルコース(ブドウ糖)が多数重合してできたでんぷんである。でんぷんは唾液および膵液中のアミラーゼにより分解されて、2糖類のマルトースとイソマルトースが生じる。食物中にはこのほかにスクロース、ラクトースなどの2糖類も含まれている。これらの2糖類は、小腸上皮細胞の刷子縁膜(さっしえんまく)に結合した消化酵素により、グルコース、ガラクトースなどの単糖に分解されると、ただちに刷子縁膜内の輸送たんぱくによって細胞内に取り込まれる。上皮細胞内への糖の取り込みはナトリウムイオンに依存している。細胞内外の電位差と濃度差のため、ナトリウムイオンには細胞内に向かって強い勾配が存在し、これを利用して糖が一緒に取り込まれるので、グルコースの細胞濃度は管腔液の30倍ほどにもなる。上皮細胞から間質に出た糖は毛細血管に入り、門脈にのって肝臓にまで運ばれ、そこで一時蓄えられることになる。