消化管の壁には感覚神経があって、腸管の充満の程度や内容の化学的情報を中枢に伝える。この感覚刺激は、空腹感や喉の渇き、悪心、便意、尿意など、あるいは内臓の痛みとして意識にのぼることもある。しかしその大部分は意識されないで、反射的に運動性神経に伝えられる。消化管を支配する運動性の神経は、腸管平滑筋を直接に収縮させるのではなく、腸管壁の局所の神経叢を支配している。また消化管に付属する腺からの分泌を調節する働きもある。消化管の運動神経には交感神経系と副交感神経系があって、二重支配されている。前者はアドレナリンを分泌し、消化管の運動や分泌を全般に抑える働きがある。後者はアセチルコリンを分泌し、消化管の運動と分泌を促進する。ただし唾液腺は例外的であって、交感神経も副交感神経もともに唾液を分泌する作用がある。