左右の心房と心室が繰り返す周期的な収縮と弛緩を心拍動という。心房と心室の拍動はややずれているが、心室の活動の方が重要なので、収縮期、拡張(弛緩)期というときは、心室の拍動を指している。心電図で目立つのはQRS群という鋭いピークで、それに引き続いて心室収縮期が始まる。心室の収縮とともに心室圧が急に高まって房室弁を閉じ、動脈圧を上回って肺動脈弁と大動脈弁を開く。続いて開いた動脈弁を通り血液が流出し、心室は50~60ミリリットルほどを残し血液を拍出するが、この期間は心電図上でQRSに続くTという山までの時期にあたる。心室の収縮が終わり心室拡張期が始まると、動脈弁が閉じ、ただちに房室弁が開いて、心房にたまった血液が房室間の圧の差によって急速に流入する。心房の収縮はこの流入期の終わりごろに見られ、心電図上のQRSに先立つP波に一致する。心室収縮期は0.3秒、拡張期は0.5秒ほどである。