補体とは、抗体反応を引き金として、溶血や溶菌といった反応を引き起こす血漿中の十数種類のたんぱくの総称である。この反応を補体反応の古典経路という。また同様の反応は抗体とは無関係に起こることもあり、これを副経路とよぶ。古典経路にかかわるたんぱくにはC1~C9の種類がある。このうちC1は抗体を認識し、C2~C4はC1に結合してそれ以後の補体反応を引き起こす。C5~C9はC2~C4により活性化され、細胞や細菌の膜を攻撃する。副経路を引き起こすたんぱくは3種類で、C3を直接活性化する。しかし副経路は通常は抑制されている。補体反応の際に切り取られた補体分子の一部は、局所の血管透過性を高めたり、顆粒球を呼び寄せたりして炎症反応を助ける。またTリンパ球の増殖を促すインターロイキン1をマクロファージなどから放出させる働きもある。